矯正治療後もメンテナンスは必要?「後戻り」を防ぐためのアフターケアについて
皆さん、こんにちは。
前橋市龍蔵寺町の歯科【エール歯科矯正歯科クリニック】です。
厚生労働省の調査によると、矯正治療を受けた方は全体で7.7%いることがわかっています。
50代未満の方では、2割近くが矯正治療の経験があると報告されています。
(参照:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」9. 矯正歯科治療の経験の有無 p33より) >
このように幅広い年代の方が矯正治療の経験があるのですが、矯正治療は矯正が終わってからの、メンテナンスが重要なのをご存じでしょうか。
例えば、リテーナー(保定装置)という器具を使ったケアがあります。
リテーナーなどのアフターケアを何もせずに放置すると、「後戻り」の原因になりかねません。
矯正治療後は適切なメンテナンスを受け、アフターケアを行うことが、キレイに整った歯と長くお付き合いするコツなのです。
今回のコラムでは、矯正治療後のメンテナンスについてお伝えいたします。
すでに矯正治療を終えた方、今後矯正治療を行うことをお考えの方など、参考にしていただけますと幸いです。
山田 裕之 院長
2003年 岩手医科大学 歯学部 卒業2007年 岩手医科大学 大学院 歯学研究科 博士課程 修了
2007年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 常任研究員
2012年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 助教 任用
2019年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 退職
2019年 エール歯科矯正歯科クリニック 開院
Contents
矯正治療後はアフターケアが重要!
矯正治療後はアフターケアが肝心です。
アフターケアをおこたると、矯正治療で美しく整えた歯並びも再び乱れてはじめてしまいます。
そのために行うのは「保定」といわれる、歯を固定させるケアです。
矯正治療後の歯は動きやすい環境のため、歯の固定を行うことで、美しい歯並びを持続させます。
矯正治療後の注意点
次に、矯正治療後の注意点について解説します。
歯の後戻り
後戻りとは、矯正治療後の歯が元の位置に戻ろうとすることをいいます。
保定が十分でない場合に起こることがあります。
保定中も歯医者でメンテナンスを行うことで、後戻りが起こると早くに対処することが可能です。
後戻りに気がつかずに放置してしまうと、せっかく整った歯並びが再び乱れてしまうことにつながります。
歯並びに関係する癖の改善
矯正治療後は日常生活の癖を見直すことも大切です。
自分では意識していない癖や習慣が、歯の後戻りを進めてしまうことがあるのです。
なぜ歯の後戻りが起こるの?
矯正治療後の最大のリスクである「後戻り」は、なぜ起こるのでしょう。
原因を理解し、正しいアフターケアに取り組むことが重要です。
歯が元の位置に戻ろうとする
矯正治療は矯正装置を装着することで、歯の周りの組織に負荷をかけて歯並びを整えます。
歯の周りの組織は伸縮性があるため、負荷がかかることで伸びていきます。
周囲の組織が伸びて動いていくため、結果として歯も一緒に移動するのです。
しかし、矯正治療という負荷から解放されることで、伸縮性のある歯の周囲組織は、元の位置に戻ろうとします。
これが歯の後戻りの原因なのです。
矯正治療後は固定がまだできていないため、不安定な状態といえます。
保定をすることで、歯の周りの組織を正しい位置に固定することが必要なのです。
日常の癖
日常の癖や習慣も後戻りの原因となります。
後戻りを起こしやすい、歯列に関係する行為は次のようなものがあります。
・頬杖
・うつ伏せ寝
・舌癖
・口呼吸
とくに舌癖には注意が必要です。
舌の正しい位置は、舌の先端が上あごについている状態です。
例えば、舌が前歯の裏についていると、常に舌で前歯を押していることになります。
出っ歯や、受け口、前歯のすき間などの要因になりかねません。
矯正治療後は歯が動きやすい状態となっているため、癖や習慣が歯の後戻りの原因となることがあるのです。
後戻りを防ぐために重要なこと
矯正治療後の後戻りを防ぐために、重要なポイントをお伝えします。
リテーナー(保定装置)の装着
リテーナーは、矯正後の歯並びが元に戻ってしまうことを防ぐための器具です。
「せっかく歯並びがキレイになったのに、元に戻ってしまった……」というケースは、リテーナの付け忘れが原因であることが多いのです。
矯正治療直後は歯がまだ安定していないため、何もケアをせずにいると、元の位置に戻ってしまいます。
そのため、矯正治療後に一定の保定期間を作ることで、歯をしっかりと固定させるのです。
ここで大切なことは、リテーナーは歯科医師の指導の元、正しく装着することです。
ご自身の判断で、装着を中止したり、装着時間を短縮させたりすることは、後戻りの大きな原因となります。
歯並びに影響を与える癖の改善
歯並びに影響する、日常生活の癖の改善に取り組むことも大切です。
とくに保定中は、歯が動きやすい時期となります。
頬杖や入眠中の体位は、意識して注意しましょう。
舌の癖も習慣化していることがよくあります。
歯医者に定期的に通い、歯並びとともに舌の位置もチェックしてもらうことで、後戻りの原因となる癖の改善へとつながります。
適切なアフターケア
定期的に通院し、アフターケアを受けましょう。
歯並びやあごの状態に合わせて、リテーナーの調整や取り替えが必要になることがあります。
歯は、かみ合わせや舌の癖が原因で毎日わずかに変化しています。
そのため、リテーナーによる保定期間が終わってからでも、後戻りが完全にないとはいえないのです。
保定期間が終了してからも、定期的に歯医者でのメンテナンスを受けることをおすすめします。
歯並びだけでなく、むし歯や歯周病の予防にもなるので、長く美しい歯を維持することにつながります。
リテーナーの種類
リテーナーにもさまざまな種類があります。
どのリテーナーを処方しているのか、また費用などは、歯科医院によって異なります。
リテーナーの種類で使用方法や保定期間に違いがあるので、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。
歯科医師に相談の上、ご自身に合うものを選びましょう。
マウスピースタイプ
透明な素材でできた、歯列全体を覆うことができるタイプのリテーナーです。
見た目の影響を少なくしたい方や、食事や歯磨きの際に簡単に取り外しをしたい方に向いています。
メリット
・透明で目立ちにくい
・薄くやわらかいため、違和感が少ない
・簡単に着脱ができる
デメリット
・強く噛み締めることで破損することがある
・かみ合わせの改善には不向き
・装着に自己管理が必要
ワイヤータイプ
金属のワイヤーを歯の裏に固定して装着するリテーナーです。
自分では管理ができないため、着脱の際には必ず歯科医院に行くことが必要です。
リテーナーの付け忘れが心配な方に向いています。
メリット
・歯の裏に装着するので目立ちにくい
・付け忘れによる後戻りのリスクが少ない
・かみ合わせの改善に向いている
デメリット
・ワイヤー装着部分は歯磨きがしにくい
・ワイヤーが外れた場合は通院が必要
・慣れるまで違和感が生じる場合がある
プレートタイプ
ワイヤー部分を歯に固定し、歯の裏側にはプラスティックのプレートがきます。
かみ合わせ面が空いているため、歯ぎしりが心配な方に向いています。
メリット
・簡単に取り外しができる
・かみ合わせの影響が少ない
デメリット
・ワイヤーが目立つことがある
・慣れるまで違和感を感じる場合がある
・装着に自己管理が必要
リテーナーを使用するときの注意点
リテーナーは矯正後の後戻りを防ぐために、欠かすことのできないアフターケアのアイテムです。
保定期間に正しくリテーナーを装着することが、後戻りのリスクを下げます。
とくに意識して気をつけていただきたいことは次の3つです。
装着を中断しない
矯正治療後の歯や歯の周辺組織は、矯正の負荷から解放されると元に戻ろうとします。
矯正した位置にしっかりと固定するまでは、リテーナーを装着することが必要です。
矯正した内容やご自身のかみ合わせ、舌の癖などにもよりますが、歯科医師が指示した期間はしっかりとリテーナーを装着しましょう。
そうすることで、後戻りのリスクは大幅に減少します。
装着時間を守る
リテーナーの効果を最大限に引き出すために、決められた装着時間を守ることも大切です。
矯正治療終了直後の歯は、後戻りしやすい状態なので、1日のうち長い時間の装着が必要になります。
経過とともに、歯や周辺組織は固定されるので、1日の装着時間も短くなっていくのです。
メンテナンス
リテーナーを長期的に使用していると、変形してしまうことがあります。
取り扱い方法や装着方法、かみ合わせや舌の癖、熱など、変形にはさまざまな要因が考えられます。
リテーナーの効果を最大限に発揮させるためにも、変形したリテーナーをご使用するのはおすすめできません。
定期的に歯科医院へ行き、歯や周囲組織の診察とともにリテーナーの破損や変形についても点検する必要があるのです。
矯正治療後はメンテナンスをして美しい歯並びを維持しましょう
矯正治療後は歯やお口の中は、デリケートな状態となっています。
見た目だけでなく歯や歯ぐきの健康を保つためにも、気になることがあれば歯科医師に相談しましょう。
群馬県前橋市【エール歯科矯正歯科クリニック】の院長は、矯正歯科の専門家として多くの臨床経験を持っております。
矯正治療はもちろんのこと、その後のアフターケアについても患者さまお一人お一人に合わせた処置やケアをご提供いたします。
矯正治療について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
※矯正歯科治療は、公的医療保険適用外の自費(自由)診療となります
※マウスピース型矯正装置は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります