「よく噛んで食べる」と「よい歯並び」につながる？｜矯正歯科の食育
皆さん、こんにちは。
前橋市龍蔵寺町の歯科【エール歯科矯正歯科クリニック】です。
「よく噛んで食べる」ということは、歯や顎の健康によいとよく言われますが、実際にどのように歯に影響を与えるのでしょうか？
特に、矯正治療を考えている方にとって、食習慣が歯に与える影響は気になる点ですよね。
そこで、今回のコラムでは、「よく噛んで食べることと、歯並びの関係」についてお話しします。
お子さんの歯並びが気になる方や、矯正治療を効果的に行いたいと考えている方は、ご一読いただけましたら幸いです。
山田 裕之 院長
2007年 岩手医科大学 大学院 歯学研究科 博士課程 修了
2007年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 常任研究員
2012年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 助教 任用
2019年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 退職
2019年 エール歯科矯正歯科クリニック 開院
Contents
よく噛んで食べることが歯並びに与える影響とは？
結論からいうと、「よく噛むこと」は、歯並びに少なからずよい影響を与えます。
その理由は、食べものを噛む砕く咀嚼（そしゃく）によって顎の成長など、口腔機能の発達や促進されるためです。
顎が適切に発達すると、歯がきちんと並ぶスペースが確保されますので、歯並びが乱れることはありません。
特に、子どもが成長する過程での顎の骨はやわらかいため、食べものをしっかり噛む習慣をつけることが成長を助けるのです。
参照：社団法人日本栄養士会「食べる力を支えよう！子どもたちの毎日に、食べる大切さと楽しさを！」 >
よく噛んで食べる「咀嚼（そしゃく）」の役割とは？
「よく噛んで食べる」という習慣が、具体的には歯にどのような影響を与えているのでしょうか？
まずは、よく噛むことで、顎の骨に適切な刺激が与えられ、顎の発育が促進されます。
特に、お子さんの場合、顎の発育が歯並びにとっては非常に重要です。
顎がしっかりと発達すると、歯がきれいに並ぶためのスペースが確保されますので、歯並びが乱れる心配がなくなります。
また、噛む回数が増えることで、唾液の分泌が促進され、歯の再石灰化を助ける効果も高まります。
これにより、むし歯予防にもつながり、歯を健康に保つことができるのです。
顎の発育と歯並びの関係について
顎が適切に発育しないと、歯並びに関する問題が起こりやすくなります。
歯が歯列に収まりきるスペースが足りなくなるため、歯が重なりあったり、前や後ろに位置をずらして生えてきたりすることになるからです。
食べものの種類と噛む力の関係について
噛む力を育てるためには、かたい食べものを摂るようにするといいでしょう。
かたい食べものや繊維質の食べものは、自然と咀嚼回数を増やします。
たとえば、野菜やナッツ、フルーツなどは、噛む回数が多くなる食材です。
これらの食材を摂取することで、顎や歯に適切な刺激を考えることができ、将来的に歯並びの乱れを予防することにもつながるのです。
また、「しっかり噛んで食べてね」といった声掛けをしてあげることが、子どもの習慣づけになることもわかっています。
子どもは大人のまねをするのが好きなので、大人が噛むことを実演して見せてあげることも効果的です。
近年の食生活は、やわらかい食べものや加工食品が増えています。
やわらかいものだけを食べていると、噛む回数が減り、顎の発育が促進されなくなってしまいます。
そのため、お子さんの歯にいい食習慣を身につけることが、歯並びを守るために重要です。
よく噛んで食べると歯並びが乱れるリスクが下がる？
咀嚼回数が増えるような食材を摂取した子どもたちは、歯列の幅が広がることが示されています。
つまり、U字型の歯列が適切な大きさまで発育すれば、歯が適切な場所に生えてこられるので、歯並びが乱れるリスクが低減するというわけです。
特に、噛みごたえのある食べものをを食べていた子どもとそうでない子どもの歯列の発育状況を調べたところ、歯列の幅に1.5～1.7 mm程度の差があったのです。
しっかり咀嚼して食べていた子どもは、小中学生のこど、自然に咀嚼回数が増えるような食材をとりいれたり、「しっかり噛んで食べなさい」などという声掛けをされてりしていました。
よく噛んで食べる、咀嚼の回数が増えると、歯並びにこのようなよい影響をもたらすことが、この研究結果からもわかります。
参照：歯科食育サイト エビデンス集｜よくかんでたべること：よくかんで食べるとどんないいことがあるの？ >
当院の小児矯正の治療法
当院では、子どもの歯並びを適切に育てるために、さまざまな矯正治療法をご用意しています。
1．床矯正
床矯正は、顎の発育を重視し、歯が並ぶよう適切な大きさの歯列を育てるための治療法です。
プラスチックの床部分と金属線でつくられた入れ歯のような装置を使って顎を広げるよう促し、歯がきれいに並ぶスペースを作ります。
この方法は、身体が発育する時期のお子さんに特に効果的です。
2．マルチブラケット装置
マルチブラケット装置は、歯の表面に取り付けたブラケットとワイヤーで歯を動かす方法です。
歯を強い力で動かすことができ、激しい症例に対応することが可能です。
治療期間には個人差がありますが、およそ1年半から3年程度です。
3．歯列矯正用咬合誘導装置
この装置は、舌や唇の筋肉をトレーニングすることで歯並びを整える方法です。
お口まわりの筋肉をトレーニングし、顎の発育を促進するため、お子さんの身体への負担が少なく、自然な歯並びをめざせます。
※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
4．筋機能療法（MFT）
筋機能療法は、矯正装置を使わずに、咀嚼や嚥下、発音、呼吸を見直し、舌や唇などのトレーニングを行う方法です。
指しゃぶりや舌を前に突き出すような癖がある、口をぽかんと開けている、発音がうまくできない、といったお子さんの癖や症状の改善を図り、口腔機能の向上をめざします。
この方法は、矯正装置を使用しないため、お子さんにかかる負担が少ないのが特徴です。
また、矯正治療と同時に行うことで、矯正治療で得た結果を安定させるためにも役立ちます。
お子さんの矯正治療は「早期相談」がポイント
お子さんの歯並びに関して、少しでも気になる点があれば、早めに矯正歯科で相談することが非常に重要です。
歯並びの不正を早期に発見し、適切な治療を受けることで、よりスムーズに歯並びを改善することが可能となります。
また、食育を取り入れることで、お子さんの矯正治療の効果をさらに高めることが可能です。
当院での矯正治療の流れと食育サポート
子どもの矯正治療は、ただ単に歯を動かして歯並びを整えるだけでなく、むし歯や歯周病になりにくい口腔環境を育て、食べる、話す、といった口腔機能を向上させることで健康的な身体づくりに役立ちます。
当院では、お子さんお一人お一人に合わせた治療計画を立て、食習慣に関する指導も含めたトータルサポートを行っています。
当院の子どもの矯正治療（小児矯正）の流れ
1．カウンセリング・診察
まずは、お子さんの歯並びやかみ合わせ、顎の発育状況を詳しく確認します。
歯やお口に関するお悩みやご希望をおうかがいしながら、保護者の方に、どのような治療が適しているのかを丁寧に説明させていただきます。
2．精密検査
レントゲン撮影や歯型の採取を行い、顎の成長や歯並びの状態を詳しく分析します。
これにより、考えられる適切な治療方法をご提案します。
3．治療計画の説明
検査結果をもとに、矯正治療の方針や期間、費用について詳しくご説明します。
複数の選択肢がある場合は、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすくお伝えします。
また、食育についてもアドバイスし、日常生活で気を付けるポイントなどのお話しもさせていただきますので参考になさってください。
4．治療の開始
決定した方法で、治療を開始します。
矯正装置を使用する治療の場合は、定期的に調整を行いながら、歯が適切な位置に移動するようサポートします。
5．食育指導
矯正治療の効果を高めるために、食べものの選び方や噛み方についてアドバイスを行います。
6．定期的なチェック
矯正治療が順調に進んでいるとのことを確認するため、定期的にご来院いただきます。
装置の調整だけでなく、咀嚼の習慣や食生活の見直しもサポートし、治療の成功をめざします。
7．保定期間
矯正治療が終了した後は、その後の戻りを防ぐための保定装置（リテーナー）を使用し、歯並びを安定させます。
この期間も、引き続き食育を意識した生活を続けることが大切です。
「よく噛んで食べる」ために日常生活で実践できること
「よく噛んで食べること」が歯によい影響を考えることをお伝えしてまいりましたが、実際にどのような習慣を取り入れればよいのでしょうか？
ここでは、日常生活で実践できる具体的なポイントをご紹介します。
噛む回数を増やす工夫を
食事中に噛む回数を増やすためには、以下のような工夫を取り入れることが効果的です。
✅一口ごとに30回噛むことを意識する
✅一度に口に入れる量を少なくし、しっかり噛んでから飲み込む
✅食べものを飲みこむ前に、舌で押しつぶせるくらいまで噛むくだく
✅食事をゆっくり楽しむ習慣をつける（短くても15分以上）
参照：瀬戸内市 こども・健康部｜食育つうしん 覚えて実践！食育ワードその２「噛ミング30」>
噛む力を鍛える食材の選び方
食材によって噛む回数が変わります。以下のような食材を摂取することで、自然と噛む習慣が身につきます。
咀嚼を促す食材
●根菜類（にんじん、大根、ごぼう）：繊維が多いため、噛む回数が多くなる
●ナッツ類（アーモンド、くるみ）：適度なかたさがあり、顎の発達を促進する
●玄米や雑穀米：白米よりも噛む回数が多くなる
●干し芋やスルメ：自然なうま味があり、噛むことで満足感を得やすい
お子さんの健康な歯並びと食育は「エール歯科矯正歯科クリニック」がサポートします
「よく噛んで食べること」と「よい歯並び」には深い関係があります。
咀嚼回数を増やすことで、顎の発育も促進され、歯並びが整いやすくなるのです。
前橋市龍蔵寺町の歯科【エール歯科矯正歯科クリニック】では、矯正治療と食育を組み合わせ、より効果的にお子さんの歯並びを整えるサポートを行っています。
お子さんの歯並びが気になる方は、一度ご相談ください。
エール歯科矯正歯科クリニックの「当院の矯正歯科」のページはこちら >
※矯正歯科治療は、公的医療保険適用外の自費（自由）診療となります
※マウスピース型矯正装置は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります
