目立ちにくい矯正装置はどれがいい?舌側矯正とマウスピース型矯正装置を徹底比較

「矯正治療を考えているけれど、できれば装置は目立たせたくない」
「仕事や学校があるので、見た目に配慮した矯正方法を選びたい」
このようなご希望をお持ちの方は、年齢を問わず少なくありません。
近年は、目立ちにくい矯正装置として、舌側矯正歯科装置を用いた治療(舌側矯正)やマウスピース型矯正装置が注目されています。
一方で、「違いがよくわからない」「どちらが自分に合っているのか判断できない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、ご自身に合った方法を見つけていただくために、目立ちにくい矯正装置それぞれの特徴・メリット・注意点をお伝えします。
山田 裕之 院長
2007年 岩手医科大学 大学院 歯学研究科 博士課程 修了
2007年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 常任研究員
2012年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 助教 任用
2019年 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座歯科矯正学分野 退職
2019年 エール歯科矯正歯科クリニック 開院
Contents
目立ちにくい矯正装置は「目的」と「生活スタイル」で選ぶのがポイント

目立ちにくい矯正装置には、舌側矯正とマウスピース型矯正装置があります。
矯正治療は、
・歯並びやかみ合わせの状態
・年齢
・生活リズム
・治療への取り組み方
などによって、矯正装置の向き・不向きが大きく変わります。
見た目だけで決めてしまうと、「思っていたより大変だった」「続けにくかった」と感じてしまうこともあります。
そのため、それぞれの特徴をしっかりと理解したうえで選ぶことが大切です。
舌側矯正とは?~歯の裏側につける矯正治療~

まずは、舌側矯正について解説します。
舌側矯正の基本的な仕組み
舌側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。
正面から見たときに装置がほとんど見えないため、「周囲に気づかれにくい矯正」として知られています。
装置の構造自体は、表側のワイヤー矯正と似ていますが、歯の裏側という限られたスペースで精密な調整を行う点が大きな特徴です。
舌側矯正のメリット
舌側矯正には、次のようなメリットがあります。
・正面から装置がほぼ見えない
・取り外しの必要がなく、装着時間の自己管理が不要
・複雑な歯の移動にも対応しやすい
特に、「着実に治療を進めたい」「装着時間を自己管理するのが不安」という方にとっては、安心感のある方法といえます。
舌側矯正の注意点
一方で、舌側矯正には注意すべき点もあります。
・舌に違和感が出やすい
・発音に慣れるまで時間がかかることがある
・清掃(歯磨き)がやや難しい
また、装置の設計や調整には高度な技術が必要となるため、矯正歯科での十分な診断と説明が欠かせません。
マウスピース型矯正装置とは?~透明な装置で進める矯正治療~

次に、マウスピース型矯正装置について解説します。
マウスピース型矯正装置の基本
マウスピース型矯正装置は、透明な樹脂製の装置を段階的に交換しながら歯を動かす矯正方法です。
装着していても気づかれにくく、取り外しができる点が大きな特徴です。
近年では、学校生活や仕事、育児などと両立しやすい方法として選ばれる方が増えています。
マウスピース型矯正装置のメリット
この方法には、次のようなメリットがあります。
・透明で目立ちにくい
・食事や歯磨きの際に取り外しができる
・お口の中を清潔に保ちやすい
また、金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がないもの特徴の一つです。
マウスピース型矯正装置の注意点
一方で、マウスピース型矯正装置には、患者さんご自身の協力が不可欠です。
・決められた装着時間を守る必要がある
・装着時間が不足すると、計画どおりに進まないことがある
・症例によっては適応が限られる場合がある
治療の成否が日々の装着習慣に左右されるため、ライフスタイルとの相性が重要になります。
なぜ「目立ちにくい矯正」が求められるの?

歯並びへの関心は、子どもから大人まで、幅広い世代で高いことがわかっています。
一方で、歯並びを整えたいという気持ちと同時に、「矯正装置が目立つこと」への抵抗感を抱く方が少なくありません。
幼稚園児の保護者の方を対象とした調査では、子どものお口の健康で気になることとして、「むし歯」に次いで「歯並び・かみ合わせ」を挙げることが多くなっています。
将来の歯並びやかみ合わせを、早い段階から意識している保護者の方が多いのです。
高校生の約7割に、何らかの不正咬合が認められたと伝える医療メディアもあり、歯並びやかみ合わせの問題は決して一部の人だけのものではなく、多くの方が抱えうる身近な課題であることがわかります。
さらに、かみ合わせの乱れは、噛む・話すといった口腔機能だけでなく、精神的なストレスや生活の質とも関係することが指摘されています。
そのため、「できるだけ早く整えたい」「将来のために治療を考えたい」と感じる方が増えています。
しかしその一方で、仕事や学校、日常生活の中で装置が目立つことに抵抗を感じ、矯正治療に踏み出せずにいる方も少なくありません。
こうした背景から、歯並びやかみ合わせを改善しながらも、周囲の視線を過度に気にせずに治療を進められる「目立ちにくい矯正装置」へのニーズが高まっているのです。
参照:J-STAGE|小児歯科学雑誌「家庭における子どもの歯科保健に対する保護者の意識とその実態について ―幼稚園での調査―」p489 図5 >
参照:東北大学 医療系メディア|気になる症状すっきり診断「悪い歯並び・かみ合わせ(不正咬合)」 >
見た目の違い|本当に目立ちにくいのはどちら?

舌側矯正の見た目
舌側矯正は、装置が歯の裏側につくため、正面や会話中に装置が見えることはほとんどありません。
近い距離で会話をしても、矯正治療をしていることに気づかれにくく、接客業や人前に立つ機会が多い方から選ばれる理由の一つです。
目立ちやすい上の歯列だけ歯の裏側に装置をつける治療(ハーフ舌側矯正)も可能です。

マウスピース型矯正装置の見た目
マウスピース型矯正装置は、透明な素材で作られているため、装着していても目立ちにくいのが特徴です。
ただし、歯の表面にアタッチメント(小さな突起)を付ける場合もあり、近くで見るとわずかに気づかれることがあります。
それでも、日常生活の中で強く目立つことは少なく、「自然な見た目」を重視する方に選ばれています。
治療の進めやすさ|生活スタイルとの相性が重要

舌側矯正が向いているケース
舌側矯正は固定式の装置です。取り外しができないため、装着時間を気にする必要がありません。
そのため、
・忙しくて自己管理が難しい
・着実に治療を進めたい
・装置の装着忘れが心配
といった方には、固定式のワイヤー矯正である舌側矯正の方が「負担が少ない」と感じられることがあります。
一方で、清掃には慣れが必要なため、歯磨きや定期的なクリーニングが重要になります。
マウスピース型矯正装置が向いているケース
マウスピース型矯正装置は、1日20時間以上の装着が基本となります。
食事や歯磨きの際に外せるため、口腔内を清潔に保ちやすいという利点があります。
ただし、
・装着時間を守る
・決められた順番で交換する
といった自己管理が欠かせません。
生活リズムが安定していて、「自分でしっかり管理できる」という方には相性のよい方法です。
適応症例の違い|すべての歯並びに同じ方法が使えるわけではありません

矯正治療では、歯の動かし方の難易度も重要な判断材料になります。
一般的に、
・歯のねじれ、ずれが大きい場合
・歯を大きく移動させる必要がある場合
・かみ合わせの調整を細かくする必要がある場合
といったケースでは、舌側矯正を含むワイヤー矯正が選択されることがあります。
一方、軽度から中等度の歯列不正では、マウスピース型矯正装置で対応できる場合も多くあります。
どちらが適しているかは、診査・診断の結果によって判断されるものであり、見た目の好みだけで決められるものではないのです。
自分に合った「目立ちにくい矯正装置」を選ぶために
当院では、患者さんお一人お一人の歯並び・かみ合わせ・生活背景を踏まえた提案を大切にしています。
重要なのは、舌側矯正、マウスピース型矯正装置、それぞれの特徴を丁寧にご説明し、無理のない治療計画を一緒に考えていくことです。
「目立ちにくい」という理由だけで選ぶのではなく、将来を見据えた歯並び・かみ合わせの改善を目標とした選択をおすすめしています。
舌側矯正とマウスピース型矯正装置は、どちらも目立ちにくさに配慮した矯正治療です。
・的確な進行、管理のしやすさを重視するなら→舌側矯正
・取り外しができ、歯磨きや食事をいつも通りにしたいなら→マウスピース型矯正装置
このように考えると、選びやすくなります。
大切なのは、ご自身のお口の状態に合うのはどちらか、そして、無理なく続けられるのはどちらかということです。
表側矯正のクリアブラケットという選択肢も

また、クリアブラケットを使用した表側矯正のご用意もございます。
金属のブラケットを使用しないので、お口元になじみやすい矯正法です。
目立ちにくい矯正法の中では費用を抑えやすく、複雑な症例や難易度の高い症例にも幅広く対応が可能です。
クリアブラケットについて、詳しくはこちらのコラムでご確認いただけます。
参照:当院のコラム「透明の装置で目立ちにくい!~矯正装置の種類③クリアブラケット矯正~」 >
歯並びやかみ合わせについて気になることがあれば、早めに矯正専門クリニックでご相談ください。後悔しない選択につなげましょう。
※自由診療です。費用は料金表をご確認ください。
※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、薬機法上の完成物ではなく、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
【入手経路、国内の承認医療機器の有無、諸外国における安全性に関する情報】
・マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、米国アライン・テクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン株式会社を通じて提供されています。
・国内には、マウスピース型矯正装置として医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けている製品が複数存在します。
・マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、1997年に米国食品医薬品局(FDA)により医療機器として承認されています。




